予算を抑えて断熱効果を上げるための対策(前編)
予算の問題、敷地の問題で外断熱の採用が厳しい場合、従来の内断熱工法に外壁下地にダイライトMSを使用して外壁面における筋交いの使用を極力減らし、コンセント電気配線、給水給湯管も外壁面には設置せず、断熱材の欠損を減らします。その上で床下、屋根天井の断熱を徹底した方がお住まいになる皆様にも費用対効果がわかりやすくなると思います。

床の断熱をなぜ重視するのか、それはほとんどの生活する方に直接接する住宅の部分だからです。過去、20年ほど前まで、日本では壁は断熱工事をしても床はそのまま何もしないことがほとんどでした。床下の湿気を断熱材が吸湿してしまい、断熱効果がなくなってしまう。また和室が多く、畳が断熱材と考えられたり、床下の通気を阻害して土台の腐朽を早めてしまう、畳を敷くから関係ない。そんな理由です。

しかしながら、フローリングが一般的になり、湿気に強い断熱材も値段が落ち着き、ようやく見直されています。弊社では、壁よりも屋根と床の断熱工事は、壁が外断熱か内断熱工法か関係なく重視します。
弊社での断熱工法例
弊社での従来の内断熱工法
弊社での外断熱工事
上の図からもわかるように外断熱の建物が壁厚が30mm程度断熱材分、厚くなっているのがわかります。内断熱のグラスウールも厚さは100mmのものを使用します。

外断熱の建物でもこのネオマフォーム断熱材を厚くすれば、さらに断熱性能が上がりますが、サイディングボードの支持強度が足らなくなり、特別な補強を必要とします。
そのため、建物の重量化につながり、耐震性の低下を招き、そのためのさらなる補強が必要ですので工費がかかります。

以上の点から、予算を惜しまなければこの両者を組み合わせた外断熱の壁の中の空洞部分にグラスウールを入れればさらに完璧になると考えられますが、壁については30mmのネオマフォーマで十分と考え、下記の図のように屋根、床下の断熱材を2倍に強化した方が効果が大きいと思います。

しかし、この2つの工法の欠点は内部空間が狭くなることです。床が上がる、屋根が分厚いということは、高さ制限、北側斜線など建物高さに制限がある場合、天井高が低くなります。
屋根、床の施工例
床の例
床下は2段階の断熱材が入り、その間に構造用合板挟まれていますので、室内のフローイングは全く外部の空気には触れず、断熱性が高い。
この場合、床下は換気口を設け、通気させます。
屋根の例
屋根も断熱材が野地板をサンドイッチしています。普通の2倍の断熱材ですから断熱性能は高いです。またガルバリウム鋼板、アスファルトルーフィングの下にエコヘルボードを貼り、雨音の軽減、断熱効果を期待しています。
しかし、エコヘルボードは屋根勾配が大きい場合、屋根工事の際滑りやすく、施工性が悪くなります。

屋根の例のように屋根の断熱は上記のように断熱処理を行っている施工現場は普通にあります。しかし屋根が厚いため、破風なども大きくなり、建物のデザインとしては重たい感じになります。また施工も屋根の野地板を2回貼ることになり、工費がかかります。床の工事も二重床のため工費はかかります。

さらに、計画的な住居内の換気を行い(24時間換気)で建物内の空気を外気よりも負圧に保ち、壁内への室内空気の湿気を侵入させないようにしなければなりません。今、寒いから、エアコンの効きが悪いからと吸気口を塞いだり、換気扇を使わない方も見かけますが、計画的な換気が前提で高気密の住宅を建築していますので、換気扇、およびダクトの清掃を含めて管理をお願いします。
続きはこちら